子どもの作文が残念…にならないためのヒント
子どもの作文が残念に感じるワケ
子どもの作文における
親御さんのお困りごとには、
こんなキーワードが
必ず並びます。
●思ったことが書けない
●言いたいことがわからない
●あらすじばかり
年間で3,000~4,000の
作文に触れる弊団体。
たくさん触れている中で、
親御さんが
そのように感じることは
よく理解できます。
また、
もっとうまく書いてほしい、
と願う親御さんが
多いことも、
よく伝わってきます。
(原稿用紙をまるっと消し
書き直しをさせた跡、
赤で添削、
時には大人の字で
書かれていたりして(笑)
皆さん、苦労されています。)
おそらく
子どもたちの作文を読んで、
なんだかなぁ。
残念だなぁ。
そう感じたとき
大人は、
_もっとうまく書けないの!?
_もう少しいい表現使えないの!?
_文章をうまくつなげられないの!?
と、つい文章力のなさに
目を向けてしまいがちでは
ないでしょうか。
すると次に、
_こうやって書いたら?
_ここはこうでしょ!
_ここ、書き直して。
そんな風に、
なんとかしなきゃと
直したくなることも
あるかもしれません。
しかし、
子どもたちの作文の
本当に残念なところは
そこなのでしょうか。
問題は、子どもの
「文章力」ではないのです。
その場では
見た目のよい文章に直しても
根本は解決しないのです。
もし、子どもの作文に
そんな風に
言ってしまったことが
ある方は、
思い出してみてください。
文章を直してあげたら、
次はうまく書けるように
なりましたか?
本当に残念なのは…
子どもたちの作文を
私たちはいつも、
こんな風に
読ませてもらっています。
子どもたちは、
時間と手間をかけて
一生懸命書いています。
___がんばってる!
字も丁寧に書けています。
習った漢字も使っています。
___いいね!
ちょっと表現が幼くても、
ちゃんと読めます。
___うんうん、わかる。
つまり、
子どもたちの「文章力」には
まったく問題は感じていません。
子どもたちの文章力は、
日々
変わっていきますから。
文章表現は…
むしろ
等身大の日本語を使って
一生懸命表現する方が
ぐっと伝わってくるもの
だったりもします。
本当に残念なのは…
文章力ではない
ということです。
その前に、実は
とても大事なことが、
問題としてあぶりだされます。
私たちが残念と思うところは
内容がないよ~
ってところです。
(真面目です(`^´)))キリッ!)
つまり、
言いたいことがないから
何も伝わってこない、
自分の言葉じゃないから
気持ちも何も入ってこない、
ってことなのです。
子どもたちの本音
子どもたちは、
書けと言われたから
何も思わないけれど書いた。
思ったことがないから、
こんなこと書いておけばいいかな
ってことを書いた。
こんな感じかもしれません。
悪いことはしていませんね。
むしろ
期待に応えようと、
_こんなことを
書いておけばいいかな?
って思うことを
忖度して?書くから、
「いい子」な文章なんです。
内容が
ごくごく一般的で
「いい子」。
_子どもは子どもらしく、
無邪気で、純粋で、素直で…
_なんでも「楽しかった」
_ぜんぶ「面白かった」
_いつでも「がんばります」
そんな
お手本みたいなことばっかり
考えているわけがない!?(笑)
もしかしたら
子どもたちは、
大人が安心する文章を
書いてくれてるだけなのかも。
と、「いい子」作文を
見るたびに
私はドキッとするのです。
本音を書いていい!と伝えるだけ
私たちが
小学校やワークショップでの
作文の出張授業に行くとき、
子どもたちとの
会話が最大の楽しみです。
なぜなら、
子どもの本音は
めちゃくちゃ面白いから!
_こう思って、
こう考えたから、
こう感じて、
だからこうした。
そんな話にあふれ、
おしゃべりが止まらないほど。
子どもだって、
本音はある!
大人とは違う視点で、
素直だからこそ
考えていることが
たくさんある!
伝えたいことだから
中身が詰まっているし、
もう目がキラキラしちゃって
気持ちがあふれてる。
そんな時私たちは必ず、
「それ!
そのまま作文に
書いていいんだよ♪
めちゃくちゃいい!
それ書いたらカッコいい!
作文でも読みたい!」
と伝えます。
子どもたちは、
「え~いいの??」
と半信半疑。
そんなことを
書いていいのかと、
作文のイメージに
反するのではないかと、
疑うわけです。
「いいんだよ!
作文は、
そういう風に思ったことを
書く練習をする
ところだからね!
そういうのがいい!!」
と背中を押すと、
そっか!と言わんばかりに
勢いよく
紙に向かい始めるのです。
作文がイキイキとすることが先
子どもが
作文をうまく
書けるようになるには、
まずは、
作文が伝えたいことで
あふれて楽しい場に
することを、
優先させるべきです。
表現方法、
言葉の使い方、
字の書き方、
文章の構成…
それはその次で
十分間に合います。
作文が
子どもたちに、
こうやって書いたら
いいんでしょ!
と忖度させる場である限り、
彼らは自分の心の内を
表現するには至りません。
自分の表現を
受け止めてくれないかもしれない、
信頼できない場では、
自分の本音なんて
言えませんよね。
言いたくありません。
それは、
子どもだけでなく
誰もがそうですよね。
大人こそ、
信頼できる場が少なくて
言えないことばかりで
生きていることも
多いのかもしれませんが…?
だからこそ!
子どもたちには
言いたいことや本音を、
人を傷つけることなく、
感情に任せることなく、
「うまく伝えられる人」に
なってほしいと思うのです。
その練習の第一歩が
小学生の作文だと考えたら、
何が必要なのかが
見えてきます。
子どもの作文を伸ばすのは、
受け止める側次第。
受け止め方ひとつで
子どもたちの文章は
劇的に変わることを、
私たちは
日々経験しています。
子どもの作文が
残念にならないために。
受け止めあえる
安心、信頼できる
自由な表現の場を
作ってあげたいものです。
そして、
作文が
多様な自分らしさが
表現できる場であることを
知ってほしい、
そんなことを
これからも子どもたちに
伝えに行きたいと
思っています。
マナビエル代表理事 志田千帆